ジュラシック・ワールド

何人食われようとも幾人踏みつけられようとも、人間がどんなに愚かしくても、太古のロマンに心ときめかさずにはいられない!

Chuck Zlotnick / Universal Pictures and Amblin Entertainment

Chuck Zlotnick / Universal Pictures and Amblin Entertainment

 スティーヴン・スピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』を見たのは、1993年の夏だった。スクリーン目いっぱいにリアルに蘇った恐竜に大興奮したことを、今でも鮮明に覚えている。その後のシリーズ第2、3弾である『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(97)、『ジュラシック・パークⅢ』(01)も楽しんだが、正直なところ1作目の新鮮な驚きを超えることはなかった。

 しかし1作目と同等の、いやそれを凌駕する感激で胸を満たしてくれたのが、シリーズ第4弾、この夏公開の『ジュラシック・ワールド』だ。1作目では恐竜のテーマパークをつくろうとしたものの、未完に終わった。だが約20年の時を経てついにオープンし、今や1日の来場者数が2万人という大人気の施設となっている。名前からして当初の“パーク”から“ワールド”とスケールアップしているのと同様に、恐竜の臨場感が過去作に比べて凄まじいものがある。皮膚のゴツゴツ感、獲物に襲いかかる瞬間の鋭利な牙、巨体と巨体がぶつかる際の振動・・・。さらにイルカ顔負けのモササウルスの餌付けや、ジャイロスフィア(360度周囲を見渡せるアトラクション)に乗って草食恐竜の生態を間近に見学できるなど、巨大生物好きの自分としては鼻血が出んばかりに魅力的なものばかりだ。

 加えて1作目へのオマージュやリスペクトには、1作目をリアルタイムで観てきた世代には感慨深い。ジュラシック・パークの発案者ハモンド氏の銅像や、彼にとって事業の原点だった琥珀のオブジェ。見覚えのある食堂やゲートに、ジープや色褪せたグッズ類。ああ、懐かしい光景がフラッシュバックする。そしてシリーズの世界観とマッチした、あの雄大なテーマ音楽が流れてきた日にゃあ、俄然テンションが上がる。そしてクライマックスには、それにふさわしくあの彼(彼女?)が!!「待ってましたーーー!!!」とばかりに、リアルタイム世代のツボをきっちり押さえている演出も心憎い。製作総指揮にまわったスピルバーグから監督に指名されたコリン・トレボロウは、シリーズを相当研究していたことが窺える。

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  1. 映画感想 * FRAGILE

    ジュラシック・ワールド/クレアから見たカレンのウザさ

    ジュラシック・ワールドJurassic World/監督:コリン・トレボロウ/2015年/アメリカ もしかして姉妹仲は相当悪いのではないだろうか。 新宿ピカデリー シアター2 E-14で鑑賞。2D字幕です。 あらすじ:恐竜がガオーで大変です。 ジュラシック・ワールドに行っといでって親から見送られた男の子ふたり。園内でなにかトラブルがあったみたいで避難しろって放送流れるんだけど、自分らVIP扱いだからちょっとくらい遅れてもいいやって探検しにいったら大変でした。※ストーリー上のネタバレはありません。 ク…

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