【TNLF】リプライズ

クロスレビュー

reprise-26原題:Direktøren for det hele
英題:Reprise
監督:ヨアキム・トリアー(Joachim Trier)
出演:Anders Danielsen Lie/Espen Klouman-Høiner/ヴィクトリア・ヴィンゲ(Viktoria Winge)/オッド=マグヌス・ウィリアムソン(Odd Magnus Williamson)ラース・フォン・トリアー(Lars von Trier)

【作品解説】

(TNLF公式サイトより)
第79回アカデミー賞外国語映画賞のノルウェー代表作品に選ばれ、ノルウェーのアカデミー賞にあたるアマンダ賞では見事グランプリを獲得。サンダンス映画祭ほか各国の映画祭でも称賛を受けたヨアキム・トリアーの初長編。
祖父と両親が映画人という映画一家に育ち、ラース・フォン・トリアーの甥でもあるというヨアキムは、本作でまさにサラブレッドと呼ぶに相応しい類稀な映画的才能を発揮している。キレのよい編集センスやテロップを駆使した遊びに映画を撮るよろこびを見るかのよう。


【クロスレビュー】

藤澤貞彦:★★★★☆

冒頭モノローグの入り方に、フランソワ・トリュフォー監督の『突然炎のごとく』が想起させられた。さらにはジャン・ヴィゴの『操行ゼロ』へのオマージュも。確かにヨアキム・トリアー監督、彼こそヌーヴェル・バーグの申し子かもしれない。作品のイメージが深刻なものにならないのは、自由自在な演出、編集にその秘密がある。ちょっと『アメリ』的ではあるのだが、ポストに原稿の入った封筒を入れた瞬間から、想像力の翼が広がり、作家としての成功と挫折、ふたりの別離と再会までが一気に走馬灯のように展開したり、現在のシーンに過去の情景やそれぞれの精神風景がポンと入ってきたり、口と声が合わず、実際にしゃべられていることと、しゃべりたいことが混在していたりなどなど。新しいのにどこか、60年代フランス風のクラシックな映画の空気を持った作品である。

鈴木こより:★★★★☆

陰影の美しさと独特の余韻が心に残る。冒頭、モノクロのシーンではアントン・コービン監督の処女作『コントロール』に通じるものを感じゾクゾクした。本作も登場人物は美男美女揃い。このヨアキム・トリアー監督の長編デビュー作は、小説家になることを夢見る2人の青年の青春を綴っている。夢を追いながら、その夢の大きさに潰されそうになったり逃避したりする彼らの姿に、映画一家で育ったという監督自身も投影されているのだろう。画面の中に張り詰めた緊張感が漂う。微かな感情の揺れや心の距離感を伝える光と影の演出も印象的。この監督の他の作品も見てみたい。


2006年/ ノルウェー/ 106min
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イベント、スケジュール等の詳細については公式サイトをご覧ください。

「北欧映画の一週間」
トーキョーノーザンライツフェスティバル 2015
会期: 2015年1月31日(土)~2月13日(金) ※音楽イベントは別途開催
会場: ユーロスペース、アップリンク 他
主催: トーキョーノーザンライツフェスティバル実行委員会
公式サイト:
 http://www.tnlf.jp/index.html

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(c)Chisato Tanaka

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