【TIFF】チェイス!:アーミル・カーン記者会見

マサラ×ハリウッドの“おいしいとこ取り” 監督を唸らせたアーミル・カーンの才能とは?
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キレッキレのタップで魅せるスター

インド映画史上No.1ヒットの話題作がいよいよ日本で公開される。主演は、ビル・ゲイツやヒラリー・クリントンも対談を熱望したというインドの国宝級スター、アーミル・カーン。当時44歳で大胆にも大学生役を演じきった『きっと、うまくいく』は日本でも好評を博しロングランヒットとなったが、今作では陸河空を駆け巡る本格アクションと華麗な舞いを披露している。アメリカのシカゴで、鍛え上げた肉体を武器に絢爛なショーを繰り広げながら、“金庫破り”という裏の顔をもつミステリアスな役に挑む。冒頭のタップをはじめとするインド最先端のダンスや、ハリウッドの全面協力によるアクロバット・チェイスをお腹いっぱい堪能できるゴージャスな作品だ。

劇場公開に先立ち、主演のアーミル・カーンとヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ監督が東京国際映画祭での上映のために来日。記者会見には、少しはにかんだ笑顔のアーミルと満面の笑顔のヴィジャイ監督が登場し、本作のPRだけでなく、初来日の印象や、日本映画への共感など熱い想いを語ってくれた。


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(左から)アーミルとヴィジャイ監督

——「できればサムライになってみたい(笑)」
Q.初来日で行ってみたいところ、やってみたいことは?
アーミル:(今回の来日で)僕に気づいて声をかけてくださる方がいて、『きっと、うまくいく』が日本の皆さんにも気に入っていただけたのだと実感しました。とても嬉しいです。妻と3歳の息子と一緒に来ているので、東京観光も楽しみですね。妻は京都に行きたがっていましたが、今回は1週間しかないので東京を楽しんで、次回に京都を含めた日本各地を巡ろうということになりました。

監督:私はできればサムライになってみたいです(笑)。あとは美味しい食事を堪能したり、せっかくなので映画祭で映画も見たいです。次回は家族とともに日本に戻ってきて、観光を楽しみたいですね。

——「エモーショナルな部分が言語を超えて伝わったのでは・・」
Q.本国インドのみならず、米、英、中国などで歴代インド映画の興収No.1を記録している本作ですが、ヒットの理由はどこにあると思いますか?
監督:アクション満載の映画ですがエモーショナルな部分もあり、言語を超えて伝わるところがあったのだと思います。

アーミル:公開前は本当にナーバスになります。撮影後に失敗や悪いところが目についてしまい、もう一度やり直したいと思うのですが、皆さんに気に入っていただけると救われる気がします。今作は精度の高いスペクタクル大作でありながら、感情に訴える要素があると思います。インド人の琴線に触れるものが、世界の方々にも同じように響いたのではないでしょうか。

——(出演のポイントは)「自分が乗り越えるべきものがあるか」
Q.『きっと、うまくいく』では実年齢より20歳以上も若い役を演じ、本作でも複雑なキャラクター(ネタあかしになってしまうので詳細は自粛)に挑戦しているが、出演作品はどのようにして選ぶのか?
アーミル:『きっと、うまくいく』は脚本を受け取った時にとても気に入ったのですが、18歳の役だったので「そんなの無理でしょ、笑われちゃうよ」と躊躇しました。「せっかくのキャラクターを台無しにしたくない」とお断りしたのですが、(ラージクマール・ヒラニ)監督が譲らなかったんです。監督の作品のファンだったので、彼の直感を信じてやってみよう、きっと私自身が気づいていない側面を見てくれているのだと思いました。作品を選ぶポイントはストーリーありきです。まず観客として脚本を読んでみて惹かれるものがあり、役者として「自分が乗り越えるべきものがあるか」という点で直感的に感じる作品であれば選んでいます。

——「アーミルは努力していないようにみせる才能がある(笑)」
Q.監督からみた、アーミルの才能と魅力とは?
監督:このキャラクターは強い部分と繊細な部分を併せ持った、とても難しい役ですが、彼は(演じる)努力していないようにみせる才能があるんです(笑)。いとも簡単に役作りをしてしまうというあたり、やはりビッグスターだなと思います。役者は子供のような気持ちで映画にワクワクする感情を持っていなければいけないと思いますが、アーミルは「映画が好きで、演じることが好きだ」という感情を表に出せる役者です。

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ハイテクバイクでシカゴを爆走!

——「アクションは緻密に計画を立てることがとても大切」
Q.どのようにして、このアクションシーンを実現できたのか?
監督:本作は製作に3年かかりました。アクションは現実離れした世界で、バイクに乗ってトラックを超えるということは普通ありえません。映画自体がひとつの世界を作り出しているんです。ただそれは観客にとって現実的で信じられるものでなければならず、(現実離れしたアクションでも)「彼だったらできる」と思い込んでもらわないといけない。そういう意味でアクションは緻密に計画を立てることがとても大切で、私自身、重要視しています。アクションが失敗してしまうと見るに耐えられないものになってしまうからです。今回はハリウッドのスタントチームと撮影することができ、彼らの協力がとても大きかったです。

——「三船敏郎のような役者が現れたら、ぜひリメイクしたい!」
Q.監督は日本映画の大ファンとのことですが、具体的に好きな作品は?
監督:黒澤明監督と三池崇史監督の作品が好きです。北野武は表面では何を考えているかわからないけど、ある瞬間に感情を爆発させることができる。そういう素質に惹かれています。とくに好きな作品は『七人の侍』『乱』で、一番好きな『用心棒』はいつかリメイク版を作れたらと思っています。三船敏郎のような役者が現れたらぜひ作りたいです。『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』も大好きです。あとは溝口健二監督の作品も好きですし、宮崎駿監督のことは天才だと思っています。

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12月5日より劇場公開!


『チェイス』作品情報
chase_sub1監督:ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ
出演:アーミル・カーン、カトリーナ・カイフ、アビシェーク・バッチャン、ウダイ・チョープラー、ジャッキー・シュロフ、タブレット・ベゼル、アンドリュー・ビックネル
提供:日活 配給:日活/東宝東和
製作:2013/インド/151分
(c)Yash Raj Films Pvt,Ltd, All Rights Reseaved.
公式サイト:http://chase-movie.jp/

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