【LBFF】メッシ:Q&A

スペインの奇才イグレシア監督、サッカーの天才を語る
映画祭おなじみのプログラミング・ディレクター、アルベルト・カレロ・ルゴ氏(左)とともにQ&Aに登壇したアレックス・デ・ラ・イグレシア監督

映画祭おなじみのプログラミング・ディレクター、アルベルト・カレロ・ルゴ氏(左)とQ&Aに登壇したアレックス・デ・ラ・イグレシア監督

現在開催中の第11回ラテンビート映画祭では、『どつかれてアンダルシア(仮)』などで知られるスペインの奇才アレックス・デ・ラ・イグレシア監督の特集上映が組まれているが、そのうちの1本『メッシ』は、現在世界最高のサッカー選手の一人と称される、アルゼンチン出身のリオネル・メッシのドキュメンタリー映画だ。10月11日の上映後、イグレシア監督のQ&Aが行われた。

サッカー選手のドキュメンタリーを手がけるくらいだから、イグレシア監督自身もさぞかしサッカー好きなのかと思いきや、「あまり知らない」と意外な答え。『メッシ』を手がけた理由として、スペインの映画制作会社メディアプロより依頼があったとし、「これまで全くチャレンジしてこなかったことに取り組むことはとても面白いし、専門外でもその分野のプロの人たちと話せるのは良い経験」と語る。本作の制作過程で「メッシについて学びを深めた」と振り返る。

messi_LBFF2014 映画はレストランにメッシゆかりの人々がディナーのために集い、そこでメッシの生い立ち、人柄、サッカーなどが語られる。そこに実際の映像(試合の様子はメッシのスーパーゴール集のようで、特にメッシやバルセロナのファンは血湧き肉踊る思いだろう)や再現ドラマを織り込んだ構成となっており、映画として豊かな奥行きを感じさせる。ただこのディナー、関係者が一同に会しているように思えたが、「関係者が多くいるのはアルゼンチンやスペインだけど、(両国は地理的に)離れているので全員を一ヶ所に集めることができなかったのです。アルゼンチンとスペイン、別々に撮影しました。似たようなレストランを使ってね」と、明かす。また再現ドラマのパートは、メッシの友人たちを取材した内容を基につくっていったという。

メッシが所属するバルセロナからは、イニエスタ、ピケ、マスケラーノなどの有名選手が参加しているが、彼らが起用された理由としてイグレシア監督は「バルサ側にメッシに関係が深い人を紹介してほしいと頼んだのですが、彼らのほうから協力を申し出てくれました」。その他にもアルゼンチン代表のサベージャ監督(当時)やヨハン・クライフ、他のクラブの監督なども出演しているが、「若い頃から活躍されている方々が出てくれたことで、メッシの人物像を深く理解するためにも良かったと思います」と語る。

アレックス・デ・ラ・イグレシア2 イグレシア監督は実際にメッシに会ったことがあるのか?「実はバルサのクラブハウスで彼を見かけたとき、『あなたのドキュメンタリー映画をつくるつもりだ』と5分ほど話をしました。その際、ぜひ出演してほしいとオファーをしたのですが、撮影当日、彼はレストランに姿を見せませんでした。後日、その理由をクラブ側に問い合わせたところ、クラブの人はメッシに『(撮影に)行きたければ行けばいいし、他のことを優先したいならそちらを優先しなさい』とアドバイスしたそうで、結果的に彼は私の映画よりも他のことを選んだのでしょう」。しかし監督はそんなメッシを「彼は謙虚な人ですし、自分自身の映画ができても意味のないことと思っていたのでしょう。もしかしたらサッカー以外のことは興味がないのかも。いずれにしろ彼の純粋さの表れではないでしょうか」と評す。

短い時間のQ&Aであったが、イグレシア監督が積極的に場をとり仕切った。「東京に着いたのが昨日で、新宿などを堪能しましたよ。ほとんど寝ていないけれど」という割には元気いっぱいの様子だった。そして「この会場に配給会社の人がいれば、ぜひ日本でも『メッシ』の配給をお願いしたい!」と自ら作品を熱くPRして颯爽と舞台を後にした。


▼作品情報▼
監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア
出演:リオネル・メッシ、アンドレス・イニエスタ、ペップ・グアルディオラ
2014年 / ドキュメンタリー / スペイン・アルゼンチン / 93分
©LBFF2014実行委員会


▼第11回ラテンビート映画祭開催概要▼
【東京】10月9日(木)~13日(月・祝)
会場:新宿バルト9(新宿三丁目イーストビル9階)
【大阪】10月24日(金)~26日(日)
会場:梅田ブルク7
【横浜】11月7日(金)~9日(日)
会場:横浜ブルク
公式サイト:http://www.lbff.jp/

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