her/世界でひとつの彼女:トークイベント
世界中で絶賛されている新作『her/世界でひとつの彼女』のプロモーションで、先日来日したスパイク・ジョーンズ監督。Apple Store,Ginzaで行われたトークイベントに登場し、ファンの前で今作へ込めた想いを語った。
今回、初めてオリジナル脚本の執筆に挑戦し、見事アカデミー賞脚本賞の栄冠を手にしたスパイク。独創的な作品を撮り続けてきた彼が満を持して書き上げた物語は、(意外にも)切ないラブストーリーだ。「ラブストーリーであるということが最大の挑戦だった。何を作るにおいても心惹かれるテーマというのはその時に考えていること、感じていることで、今回は恋愛も含めた人間関係がどうしたら上手くいくのか、ということを考えていたんだ」
妻と別れて傷心のセオドア(ホアキン・フェニックス)が、刺激的な彼女サマンサ(スカーレット・ヨハンソン)と出会い、ありえないはずの恋に落ちていく。サマンサはユーモラスでセクシーで、誰よりも人間らしい“最新型のAI(人工知能)”という設定だ。「AIを演じるスカーレットは声だけですべての感情を表現しなければならないし、また、その声のシーンを映像でどう表現するのかということも、自分にとっては大きな挑戦だった」
ただ、けっして人とテクノロジーの関係を描きたかったわけではないと言う。「テクノロジーのせいで人と親密な関係を築けないという人もいるけど、20年ぐらい前は違う理由を言い訳にしていたんだと思う。コミュニケーションの形が変化し、現代社会を生きる我々は受け取る情報量も多いけど、そんな中で自分をさらけ出して伝えていくことの難しさや挑戦を描きたかった」と強調した。
かつてない個性と魅力を持つヒロイン、サマンサを演じきったスカーレット・ヨハンソンは、声だけの出演ながら第8回ローマ国際映画祭最優秀女優賞を受賞。セックスシンボルといわれている彼女を声だけの役でキャスティングした経緯について、「サマンサ役には30人ほどオーディションしたけど、今までの中で最も難しいキャスティングだった。肉体的な魅力を取り除いても、スカーレットは自分自身をよくわかっていて自信に満ちていたよ」と振り返る。
ちなみに「サマンサのモデルはいるのか?」という問いには「ノー!(笑)」と即答。「ただ自分で書いたので、自分自身のキャラクターは反映されていると思う。サマンサは声だけの存在だけど、感情移入して思いやりを持ちながらキャラクターを作り上げたんだ」
新たなチャレンジで新境地を開いたスパイク・ジョーンズ監督。4年ぶりの新作は、自身のこれまでの経験を振り返りながら、人と関係を築くことの難しさと挑戦を描いた、思い入れたっぷりの作品だ。
6月28日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー!
監督・脚本:スパイク・ジョーンズ
出演:ホアキン・フェニックス、エイミー・アダムス、ルーニー・マーラ、オリヴィア・ワイルド、スカーレット・ヨハンソン
音楽:アーケイド・ファイア、オーウェン・パレット
主題歌:カレンO 「The Moon Song」
配給:アスミック・エース
2013年/アメリカ/カラー/126分
公式サイト:http://her.asmik-ace.co.jp/
(c)Photo courtesy of Wanrer Bros. Pictures
2014年7月2日
her/世界でひとつの彼女/恋をしても独り
her/世界でひとつの彼女Her/監督:スパイク・ジョーンズ/2013年/アメリカ その世界の中で、わたしは何になれるの? ヒューマントラストシネマ有楽町 シアター1 E-11で鑑賞。チケット取るの前日になっていつもの席を逃す…が、E列でも近すぎるということはなかったので今後の参考に書き留めておきましょう。 あらすじ:彼女がパソコンから出てきません。 手紙の代筆業をやっているセオドア(ホアキン・フェニックス)は、人工知能型の新しいOS(スカーレット・ヨハンソン)に恋をします。 ※ネタバレしています。…