蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督&李康生(リー・カンション)に会える!6月17日~19日、劇場前で新作『郊遊<ピクニック>』前売り券を販売

“人間立て看板”参加者の皆さんと一緒に記念撮影する蔡明亮監督&李康生さん(前列中央)。渋谷シアター・イメージフォーラム前にて。

“人間立て看板”参加者の皆さんと一緒に記念撮影する蔡明亮監督&李康生さん(前列中央)。渋谷シアター・イメージフォーラム前にて。


『愛情萬歳』『河』『西瓜』などで知られる台湾の巨匠・蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督が8月公開の最新作『郊遊<ピクニック>』PRのために来日中だ。長編第1作『青春神話』(92)から約20年にわたり蔡監督作品で主演を務めてきた俳優・李康生(リー・カンション)を伴い、6月16日には 東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムで行われた『河』の特別上映会&トークイベントに登壇。翌17日からは、蔡監督と李さんが自らイメージフォーラム入り口に立ち、『郊遊』の前売り券(1,500円)を発売するイベントを行っている。

 販売第1日目となった17日夕刻。前売り券購入者には、快く握手やサインに応じるなど、ファンサービスにも余念がない蔡監督と李さん。実は、李さんは1ヵ月半ほど前に軽度の脳梗塞を患ったばかり。また、蔡監督も長い間体調が芳しくないとのことで、二人とも健康面の心配を抱えつつの来日となったが、そんな様子は一切見せず、一人でも多くの観客に作品の魅力を伝えようとする姿に頭が下がる。

 劇中で李さん演じる小康(シャオカン)が、“人間立て看板”として路上で広告看板を掲げている設定に基づいて行われたこのPRイベント。18日(水)、19日(木)の2日間も、同じく渋谷シアター・イメージフォーラム前にて、午後6時半から約15分間、二人がチケット販売を行う予定。世界的な巨匠と直に交流できる貴重な機会。同作の鑑賞を予定している人はぜひ足を運んでいただきたい。

(左から)蔡監督、片桐はいりさん、李康生さん。(6月16日来日記念イベント)

(左から)蔡監督、片桐はいりさん、李康生さん。(6月16日来日記念イベント)

 『郊遊<ピクニック>』が審査員大賞を受賞した昨年のヴェネチア国際映画祭で、蔡監督は今作を最後に映画監督を引退する意向を明らかにしている。16日夜のトークイベントには、もしかすると揃っての来日は最後になるかもしれない蔡監督と李さんの名コンビを一目見ようという観客のほか、蔡監督作品のファンで、ご自身で上映会を催したこともある女優・片桐はいりさんもゲストとして駆けつけた。

 さて、この『郊遊<ピクニック>』。昨年の東京フィルメックスで上映された際も観客の間に“静かな衝撃”が走ったが、終盤に登場する驚異的な長回しのカットなど、蔡監督の作品の中でも、最も実験的かつ自由に撮られた1本と言えるのではないだろうか。
「近ごろ、私の作品に若い観客が増えてきたのが嬉しい」という蔡監督。ここ数年、例えば美術館など、映画を映画館以外の場所で見せるという新しいプラットホーム作りに力を入れているそうで、「映画というのは商品ではなく、純粋で自由な創作だということを、特に若い人たちに分かってもらう機会を提供したい」と監督は言う。「映画館で観るものは、美術館で観るものと感覚が違う。訓練を通じて本当に創作を楽しめる観客を育てていきたい。そして彼らが再び映画館に戻ったときに、新しい目で映画を観てもらえれば良い」と語っていた。

 饒舌な蔡監督の隣で、じっと観客らとのやり取りを伺っていた李さんは、今回が約5年ぶりの来日となる。今作が蔡監督の引退作と言われていることについて問われると、「もし日本でヒットすれば、監督はまた撮るかもしれません。だから皆さんご協力をお願いします。そうすれば私もまた日本に来られます」と、言葉数は少ないながらも、作品のPRに絶妙のパスを繰り出していた。

『郊遊<ピクニック>』は8月下旬より渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

『郊遊<ピクニック>』公式サイト www.moviola.jp/jiaoyou/
 

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