ゼロ・グラビティ

映画と。ライターによるクロスレビューです。

GRAVITY

監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー

作品解説(公式サイトより)
地表から60万メートル上空で誰もが予測しなかった突発事故が発生。スペース・シャトルは大破し、船外でミッション遂行中のメディカル・エンジニアのライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)と、ベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)は、宇宙の無重力空間=ゼロ・グラビティに突如放り出されてしまう。漆黒の闇で二人をつなぐのは、たった一本のロープのみ。他の乗組員は全員死亡。NASAとの交信も断たれ、残った酸素はあとわずか。次々と襲いかかる危機を突破し、果たして地球に無事生還することができるのか…!?。

生存率0%の宇宙を舞台に、突如放り出されてしまった人間に襲いかかる究極の絶望と、その中で生を渇望する強き女性の全身を貫くような感動のドラマを描き出す。オスカー常連のキャスト&スタッフが集結し、4年半もの歳月をかけて創り上げられた最新VFXと3D技術を駆使した臨場感に溢れる大迫力の未体験空間に、この冬あなたを引きずり込む!


クロスレビュー

宇宙空間の映像美に圧倒されるが、見所は心に傷を負った女性宇宙飛行士が己を取り戻し、自分の足で自分の人生を歩むことを決意する物語である点だ。予期せぬ事故で、宇宙に放り出された彼女は死の恐怖に直面し逃避しようとするが、それは果敢に生きようとすることとは違う。だが、宇宙服に装着されていた酸素が尽きようとした瞬間、国際宇宙ステーションに逃げ込む。そこで酸素を吸い込んだ彼女の姿は、母親の子宮のなかの胎児のよう。ここを境に彼女の生への執着が蘇るが、彼女の再生を神秘的に描写しており、感動度を上げている。サバイバルの域を超え、心の軌跡を力強く表現したサンドラの名演は、オスカーを受賞した『しあわせの隠れ場所』を凌ぐものだ。
(富田優子/★★★★★)

何もない宇宙空間にこれほど恐怖を感じたことはない。足元が地に着かないこと。飛ばされてしまったら最後、永遠に彷徨い続ける感覚。地球は青く輝いているというのに、周りは漆黒の闇。手が届きそうなところに生が見えているというのに、死の闇が身体を包み込む。おそらく信仰心が厚いわけでもなく、迷信やあの世の存在さえ信じていなかった女性宇宙飛行士の、死が身近に迫った時に感じた不思議な感覚。それによって、逆に彼女は生きる気力を取り戻す。無線から聴こえてくる赤ん坊の声、犬の鳴き声の懐かしさ。生かされる命、その命を育む地球のなんと神秘的なことか。それに対して人間の造った科学の貧弱。生命には科学では割り切れない神秘の領域がある。人間よ、奢ることなかれ。
(藤澤貞彦/★★★★★)


© 2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
http://zerogravitymovie.jp/
配給:ワーナー・ブラザース映画
原題:GRAVITY
91分 | 2013年 アメリカ |

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  1. 映画感想 * FRAGILE

    ゼロ・グラビティ/そこは美しく残酷で、この声はもう届かない

    ゼロ・グラビティGravity/監督:アルフォンソ・キュアロン/2013年/アメリカ 2,200円で宇宙遊泳疑似体験が出来ますよ。 ユナイテッド・シネマとしまえんIMAX3D字幕、H列16で鑑賞。予告はテレビでちょっと見ていました。 あらすじ:宇宙で大変です。 サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーが宇宙で作業してたら、デブリがびゅんびゅん飛んできて大変なことになりました。 ※ネタバレはありません。おすすめポイントいったいこれはどうやって撮っているのか?! と思いましたね。わたしは字幕派なんですが…

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