【TIFF】レッド・ファミリー:記者会見
10/24、東京国際映画祭のコンペティションで上映された『レッド・ファミリー』の記者会見が行われ、脚本・製作を手掛けたキム・ギドクとイ・ジュヒョン監督、出演者のキム・ユミ、チョン・ウ、パク・ソヨンが出席した。
前日のワールド・プレミア上映では、観客とともに初めての鑑賞を楽しんだ様子。出来上がったばかりの新作は、なんと「たった12回の撮影で作り上げた」とイ監督が明かした。主演のキム・ユミは「撮影はあまりにも大変で投げ出したくなる時もあったけど、その気持ちに打ち勝って良かったです。私たちが論じるべき話であり、日本の観客の方も共感してくださっているようで嬉しく思います」と述べ、感慨深い表情をみせた。
北朝鮮のスパイチームが装った仲睦まじい家族と、ケンカの絶えない韓国人の家族。隣に暮らす両家族は交流を重ねていくうちに、互いに自分の家族にないものに惹かれ、絆を深め合っていく。
キム・ギドクはまず「南北統一を切に願って書きました。こういう映画をきっかけに、改めて現実を考えるのだと思います」と作品への想いを述べた。そして、この脚本をイ監督に託した理由について「彼の短編作品を見た時に、人間の苦痛を理解し、生きていくということに温かい視線を持っていると感じ、本作を演出する能力が充分にあると思いました」と説明した。
一方、託された方のイ監督は大きなプレッシャーを感じていたようだが、撮り終えた時は「いつも感じる心残りはなく、自分でもよくここまで撮れたな」と思ったのだとか。「俳優さんたちの情熱と、ギドク監督の素晴らしいメッセージと魂があったからこそ生まれた作品。現場では、そこから生まれるエネルギーを感じる瞬間が何度もあった」と振り返った。劇中では、家族のために隣の家族を殺さなければならないという場面もあるが、イ監督は「映画のテーマは“ジレンマ”だと思います。家族への愛が生じ、イデオロギーが揺らいで崩れていく。その時に人はどう行動するのか。そこが一番問いたかったところであり、一番集中したところであります」と自身の構想を語った。
イ監督にとって初の長編作となるが、キム・ギドクは「想像していた以上に立派な作品」と満足している様子で、イ監督を讃えた。
本作は、コンペティション部門に出品された15作品の中から「観客賞」を受賞した。
監督:イ・ジュヒョン
エグゼクティブ・プロデューサー/原案/編集:キム・ギドク
キャスト:キム・ユミ、ソン・ビョンホ、チョン・ウ、パク・ソヨン
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99分 韓国語 Color | 2013年 韓国 |
第26回東京国際映画祭
期間:2013年10月17日(木)〜10月25日(金)9日間
場所:六本木ヒルズ(港区)をメイン会場に、都内の各劇場及び施設・ホールを使用
公式サイト:http://tiff.yahoo.co.jp/2013/jp/tiff/outline.php