【TIFF】ハッピー・イヤーズ(コンペティション)
監督:ダニエレ・ルケッティ
出演:ミカエラ・ラマッツォッティ、キム・ロッシ・スチュワート、マルティーナ・ジェデック
作品解説(公式サイトより)
前衛美術家の父に振り回される家族の姿をユーモラスに、そして感動的に描くドラマ。名匠ルケッティ監督の自伝的内容であり、70年代の空気が完璧に再現される。人気俳優キム・ロッシ・スチュワート(『家の鍵』)主演。
『マイ・ブラザー』(07)と『我らの生活』(10/カンヌ映画祭主演男優賞受賞作)で様々な家族の形を描いてきたルケッティ監督による自伝的作品。監督は、両親をイメージして創作したグイドとセレーナの「産みの親」でありつつ、一方では彼らの「息子」であるという奇妙な状況に身を置きながら、自分の家族の物語をもう一度生きることになった。フィクションも多く用いながら真実を描いたと監督は語るが、一方で絶妙に再現されるイタリアの70年代のルックも注目である。本作は8mm、16mm、そして35mmで撮影されており、それは劇中で8mmカメラを廻す少年時代の監督自身と、フィルム映画に対するオマージュにもなっている。
クロスレビュー
監督自身の家族の物語。父親の芸術作品は、多分に彼の精神世界を反映している。だからその世界に妻が突然現れたら具合が悪い。彼女の存在は彼にとっては、港のようなところなのだから。彼は妻に母的なものを求めているのである。彼がついに傑作をモノにする、その彫刻作品は、彼のそんな素直な心がよく現れていていた。70年代の風の中で、夫婦の幻想は崩れ去り、二度と元には戻らなくなってしまったが、あの彫刻作品がふたりをその後も繋げつづける。監督自身の今日を創り上げた原点がここに。そういう意味で良くも悪くもプライヴェートな匂いの強い作品だ。
(藤澤貞彦/★★★☆☆)
ピカソやティツィアーノを引き合いに浮気を正当化する美術作家と、そんな夫に呆れつつも彼の力になりたいと願う妻。夫の浮気はピカソ気取りではなく、妻を愛しつつも心のどこかで愛と向き合うことを恐れているせいだ。だが女には自分の心に正直になれる強さがある。だから2人の選択は納得の展開だが、その決め手となったのが、長男がキャノン製スーパー8カメラで撮影した映像であることが少し恐ろしかった。カメラは真実―たとえ不都合なものであっても―を美しく残酷に映し出す。本作はルケッティ監督の両親がモデルだというが、真実への畏敬がルケッティの映画監督としての原点になったのではないか・・・と考えるのは穿った見方だろうか。
(富田優子/★★★☆☆)
106分 イタリア語 Color | 2013年 イタリア=フランス |
上映情報
▼TOHOシネマズ 六本木ヒルズ Screen7
10/22 21:10 – (本編106分)
登壇ゲスト(予定): Q&A: ダニエレ・ルケッティ(監督)
▼TOHOシネマズ 六本木ヒルズ Screen6
10/24 11:00 – (本編106分)
登壇ゲスト(予定): Q&A: ダニエレ・ルケッティ(監督)
第26回東京国際映画祭
期間:2013年10月17日(木)〜10月25日(金)9日間
場所:六本木ヒルズ(港区)をメイン会場に、都内の各劇場及び施設・ホールを使用
公式サイト:http://tiff.yahoo.co.jp/2013/jp/tiff/outline.php