【TIFF】ラヴ・イズ・パーフェクト・クライム(コンペティション)
※『愛の犯罪者』のタイトルで2014年9月2日(火)DVD発売
監督:アルノー・ラリユー/ジャン=マリー・ラリユー
出演:マチュー・アマルリック、カリン・ヴィアール、マイウェン、サラ・フォレスティエ、ドゥニ・ポダリデス
作品解説(公式サイトより)
女好きでヘビー・スモーカーの大学教授に忍び寄る事件の影。失踪した女子大生の行方は…? 雄大な自然の中で展開する、ミステリアスで哀しい愛の物語。主演は現代フランスを代表する人気俳優のマチュー・アマルリック。
ラリユー兄弟は、ゼロ年代初頭から頭角を現したフランスきっての個性派監督である。「人間の身体を自然の景色の中で描くこと、そして身体を景色のように描くことを意識している」と語る通り、大自然の中に生身の人間を放り出すような、奇想天外な物語作りが特徴である。男女が山中で奇妙な再会を果たす『運命のつくりかた』(02)で名を揚げ、アルプスを舞台にした『描くべきか、愛を交わすべきか』(05)はカンヌ映画祭のコンペティション部門に選出され話題となった。マチュー・アマルリックは監督の盟友ともいえる存在で、初期作品から出演が続く。共演のマイウェンは女優業の傍ら、初監督作品“Polisse”が11年のカンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞している。
クロスレビュー
人里離れた山荘に暮らす、40代の大学教授とその助手をしている妹の関係が、まるで『山の焚火』のような近親相姦的兄妹関係にあるところで、この男が他人を愛せないということがわかる。情事を重ねるのは、不謹慎なことに女学生ばかり。愛がないから名前さえ覚えられない。そんな男が文学で愛を語ること、その皮肉。彼の情事の相手であった行方不明の女子学生はどうなったのかというこのミステリーの行き着く先は、彼が愛を見つける物語だったという、この歪み方がいかにも原作『ベティ・ブルー愛と激情の日々』のフィリップ・ジアンらしい。悲しく切ない“ハッピー・エンド”にフランス映画ならではの香りがする。
(藤澤貞彦/★★★★☆)
女子大生失踪事件に端を発するミステリー。だが実は犯人探しがメインではない。数多くの女と浮名を流す大学教授は、雪に閉ざされた山荘で美人の妹と二人暮らし。実は彼らの方がよっぽど謎めいている。何かを埋めるようにたくさんの情事を重ねてもホントに欲するものは手に入らない。ジキルとハイドを想起させるような謎めいた行動の果てのあのラストには思わず納得。雄大な自然とブラックユーモア、なにより女性にモテすぎて困り顔のマチュー・アマルリックの魅力には抗えない。
(外山香織/★★★★☆)
フランスの女子大生ってセクシーすぎるな、大学の設備充実してるな、男性陣惚れっぽすぎるよな…などと思っているうちに、とんでもなくサスペンスな状況に巻き込まれる。雪深い郊外のロッジに住むマルクとマリアンヌ。容姿に恵まれ、社会的地位もあり、プライベートも謳歌しているように見える二人の“歪み”がじわじわ浮きあがってくる展開から目が離せない。傷ついたまま育った中年の兄妹の姿が、時に、小さな子供に見えた。愛とはいったいなんだろう。考え続けたマルクが最後に辿り着く答えは、衝撃的で、虚しい。
(北青山レオ/★★★★☆)
教え子にモテまくり情事を重ねる独身の大学教授とその妹の関係は、どことなく『SHAME-シェイム-』を連想させる。ある女子学生(=情事の相手)の失踪事件から端を発すミステリーだが、他人を愛せなかった彼が、“愛”の定義を悟る物語だ。彼はそれを“完全犯罪”という答えに辿り着く。だが果たして、本当にそうだろうか?山荘で流れるシューベルトの交響曲<未完成>。愁いを帯びた旋律は、それに意義を唱えているように思える。自分の過ちも、自分自身をも見失ってしまった男の悲劇だが、独りよがりな彼の自己完結を否定している点に、つくり手の“遊び”と“意地悪さ”が垣間見られ、作品に深みを与えている。
(富田優子/★★★☆☆)
© ARENA PRODUCTIONS, GAUMONT, VEGA FILM, ENTRE CHIEN ET LOUP, MOLLYWOOD
110分 フランス語 Color | 2013年 フランス=スイス |
上映情報
▼TOHOシネマズ 六本木ヒルズ Screen6
10/17 10:20 – (本編110分)
▼TOHOシネマズ 六本木ヒルズ Screen7
10/20 20:55 – (本編110分)
登壇ゲスト: Q&A: マチュー・アマルリック(俳優)※緊急来日決定!
第26回東京国際映画祭
期間:2013年10月17日(木)〜10月25日(金)9日間
場所:六本木ヒルズ(港区)をメイン会場に、都内の各劇場及び施設・ホールを使用
公式サイト:http://tiff.yahoo.co.jp/2013/jp/tiff/outline.php