【TIFF_2010】コンペティション審査員・記者会見

意気込みと審査基準とは?

左から根岸吉太郎、ドメニコ・プロカッチ、ニール・ジョーダン(審査委員長)、ジュディ・オング、ホ・ジノ

第23回東京国際映画祭の最終日にコンペティション部門15作品の中から、東京サクラグランプリを始め、各賞の受賞者が発表される。10月25日(月)六本木ヒルズにて、その審査を担当する5名の審査委員による記者会見が行われた。

<審査委員> ニール・ジョーダン(審査委員長)、ジュディ・オング、ドメニコ・プロカッチ、ホ・ジノ、根岸吉太郎

ニール・ジョーダンさん:
第1回東京国際映画祭で私の作品『狼の血族』が上映されました。その時は観客の皆さんと一緒に映画を観て、その反応を見ることもできましたが、今回は私たちだけで映画を観て審査をしなければならないので、また違った体験になると思います。

ジュディ・オングさん:
映画とは、小さい時から知らない世界を覗くための窓、と思っています。今回はそういう皆さんの力作を審査しなくてはならないということで、真面目に且つ楽しみながら観させて頂いております。

ドメニコ・プロカッチさん:
ここにいる皆さんと一緒に審査できることを嬉しく思います。とりわけ審査委員長のジョーダン氏は私が尊敬する監督ですから。実は数年前、東京で撮影された映画『シルク』を酒井園子さんと共同プロデュースしています。それ以来の東京となります。

ホ・ジノさん:
9年前の東京国際映画祭のコンペティション部門に、私の『春の日は過ぎゆく』という作品で参加しました。今回はニール・ジョーダン監督を初めとする素敵な皆さまと審査ができることを光栄に思います。

根岸吉太郎さん:
今日の世界の映画が何処にあるのか、世界の国々がどんなことを映画を通じて考えているのかということを学びながら真摯に審査をしていきたいと思います。同時に、審査をしていることを忘れるような映画に出会いたいとも思っています。

―― それぞれの審査の基準について
ジョーダンさん:
心を掴むものがあるのか、首尾一貫していて独自の美しさを持っているかが大切です。そういった観点から映画を観たいと思います。映画を観た時の自分の気持ち、心打たれるものがあるかどうかによって判断したいと思います。

オングさん:
これはどうだろうかといったことを考えている間もなく、グーっと引っ張り込まれてしまう作品が心に残る作品になると思います。

プロカッチさん:
心打つものがあるのか、おもしろく心を動かされるストーリーであるのか、私の心と頭がそれをどのように受け止めるのかといったことが審査のポイントとなります。

ホ・ジノさん:
監督である私が、他の監督の作品を審査するのは難しいことです。映画を見た時に心を揺さぶられるものがあるか、その揺さぶりが真実として自分の心に迫ってくるものであるか、そういったことから審査をしたいと考えています。

根岸さん:
心を動かされるという点については皆さんと同じですが、自分なりに言えば、映画が終わって10分くらい経っても作り手の強い意志を感じ続けられるものを選びたい。それと同時に、その作り手が上手く顔を隠しているなという映画がベターだと思います。

発表まであと2日。「今年は良作揃いでレベルが高い」と評判のコンペティション作品の中から、5人の審査委員の心を最も揺さぶるのはどの作品だろうか。ちなみに東京サクラグランプリ受賞作品は、最終日(10/31 19:30から)に六本木ヒルズで上映される。

▼ニール・ジョーダン(審査委員長)・プロフィール
1950年、アイルランド、スライゴ生まれ。
小説家としてキャリアを始める。処女作の短編集「チュニジアの夜」(1976)で、ガーディアン・フィクション賞を受賞。その後、「The Past」(79)、「獣の夢」(83)、「Sunrise With Sea Monster」(94)、「Shade」(05)など5作品を発表。最新作「Mistaken」は2011年に出版予定。1982年『殺人天使』にて長編監督・脚本家デビューを果たす。その後、『狼の血族』(84)、『モナリザ』(86)、『クライング・ゲーム』(92)、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(94)、『ブッチャー・ボーイ』(98)、『ことの終わり』(99)、『ギャンブル・プレイ』(02)、『プルートで朝食を』(05)、そして最新作『Ondine』を含め、15作以上の映画において、脚本・監督・プロデュースなどを手がけている。
彼の作品は、アカデミー賞、英国アカデミー賞(BAFTA)、ゴールデン・グローブ賞、ヴェネチア国際映画祭(金獅子賞)、ベルリン国際映画祭(銀熊賞)など、世界中の映画祭で数多くの賞を受賞し、高い評価を受けている。また、これまで5つの名誉博士号を授与されており、1996年にはフランス芸術文化勲章(オフィシエ)を受勲している。

▼主な受賞歴
『クライング・ゲーム』でアカデミー脚本賞 『マイケル・コリンズ』でヴェネチア国際映画祭金獅子賞『ブッチャー・ボーイ』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞

Text by 鈴木こより

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