『マメシバ一郎 フーテンの芝二郎』 佐藤二朗インタビュー：「動物を擬人化してお涙ちょうだいみたいな映画では決してないです（笑）」 ： 映画と。

　偏屈だけれどなぜか憎めない“中年ニート”芝二郎とマメシバ犬・一郎の交流を描いた映画『マメシバ一郎 フーテンの芝二郎』が公開中だ。超個性派俳優でもあり、自ら脚本や監督を手掛けるクリエイターでもある主演の佐藤二朗が、マメシバシリーズの人気の秘密を語った。

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‐シリーズ3作品目です。ここまで支持を集めた理由はどこにあると思いますか？

佐藤：
　芝二郎のキャラクターは、１０人中７人位が「生理的に無理」っていう反応で、２人か３人は絶賛してくれれば良いと思い演じたけれど、意外と受け入れられて、むしろ不満なほど(笑)。いやでも、こうして続くことはいいことなので、素直にうれしいです。でも、（アゴに手を当てて）「んんっ」て何度もやるとは思っていなかったですね（笑）。
　よく考えなくても、これ、動物モノじゃないですか。すでに子犬を出している時点で、媚びていますよね？　そこでひねくれ者の僕らは―それに反しようとは思っていないけれど―人がやっていないことをやろうとは思っていました。普通の動物モノじゃない何かをね。その結果、意外と人がついてきてくれているっていうことですね。

‐１作目のお話が来た時の作品に対する印象は？

佐藤：
　僕が『memo』という作品の監督・脚本を手がけたんですが、その時プロデューサーの方が資金集めをしてくださっていた時に、「これは面白い！」といってお金を出して下さったのが永森裕二さんという方で、その方がこの作品の原作を書かれているんです。僕のことをＴＶなどで見てくれていて、僕のパフォーマンスを最大限に出す作品を考えていてくれていたんです。そして並行して動物シリーズをやっていて、佐藤二朗に中年ニートをやらせて、子犬と組み合わせたらどうだろうということで、一気に本作を書きあげてくれたんです。主人公の名前も芝二郎で、僕と同じですし、完全に僕をイメージして作ってくれた作品ですから、僕がNOだったらこの企画もなしにしようぐらいの意気込みでお話を持ってきてくれたんです。永森さんとは、言語感覚も近いし、年齢も近いし、面白いと思うものも似ているんだと思います。本を読んだら、すごく面白くて、初めての主演だし、嬉しかったですね。

‐単なる可愛いだけの犬ドラマではないですよね。他の動物映画との違いは何でしょう？

佐藤：
　大きな魅力のひとつは、芝二郎の台詞にあると思いますね。脚本も永森裕二さんが書いてるんですが、なんというか、台詞に詩があるんですよね。そういう才能ある人が1人いてグイグイ引っ張る作品は、やっぱり面白い。僕たちは永森さんの脚本に絶対の信頼を置いていますしね。

亀井亨監督：
　普段永森さんが話している言葉が、そのまま会話になっていると思います。でも、僕がいて、二朗さんがいて、永森さんがいて、似たようなひねくれ者たちがそろっているので、疑問点があまりない。同じ方向を向いていることがいいことだと思いますね。

‐最後になりますが、ファンにメッセージをお願いします！

佐藤：
　シリーズ一貫して人と動物のリアルな距離感を描いてきたけれど、動物を擬人化してお涙ちょうだいみたいな映画では決してないです（笑）。今回の作品には、そのテーマがもっとも如実に表れていると思うので、楽しみにしてほしいですね。

単なる可愛いだけの犬ドラマではない、芝二郎とマメシバ犬・一郎が繰り広げる異色の物語を是非劇場で堪能してもらいたい。

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Profile
1996年、演劇ユニット「ちからわざ」を旗揚げ。以来全ての公演で作・出演。近年、連ドラで最も顔を出す男として活躍中。また監督・脚本『ｍｅｍｏ』が2008年湯布院映画祭に正式招待され、高い評価を得るなど、マルチな才能で活躍するクリエーターでもある。主な出演映画に『はやぶさ／HAYABUSA』『アフロ田中』『綱引いちゃった！』『ボクたちの交換日記』などがある。

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『マメシバ一郎　フーテンの芝二郎』
監督：亀井亨
企画・脚本：永森裕二
出演：佐藤二朗、南沢奈央、高橋洋、高橋直純、キムラ緑子、角替和枝、志賀廣太郎、藤田弓子
配給：AMGエンタテインメント
（あらすじ）
周囲の協力で脱ニートに成功したかに見えた38歳、芝二郎。相棒のマメシバ・一郎と共に、一人と一匹のアパート暮らしを満喫していた。
ペットショップに勤務している芝二郎だが、すぐにサボるし、客に対する減らず口も相変わらず。同僚とも衝突ばかり。しかしある日、店長から「しつけ教室」の担当になるよう言い渡され･･････。

2013年／日本／75分
(C)2013「マメシバ一郎　フーテンの芝二郎」製作委員会

シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開中
http://mameshibaichiro.net/