【TNLF】サイコビッチ

映画と。ライターによるクロスレビューです。

作品紹介

学校で浮きまくる 問題児 「サイコビッチ」フリーダと学習ペアを組むことになってしまった模範生のマリウス。完璧だったはずの彼の生活は乱されてしまうが、ある日、クラスの一軍女子からスクール・ダンスに誘われて……エキセントリックな少女が、周囲の期待に応えるために抑圧していた少年の心を開放していく学園ラブコメディ。

クロスレビュー

藤澤貞彦/磁石のS極とN極度:★★★☆☆

マリウスは思った。なぜフリーダは無理してまで問題行動を取るのかと。フリーダは思っていた。自分が先手を取ることが傷つかなくてすむ最良の方法だと。マリウスは思っていた。誰にでも気を配り期待された行動を取れば、楽しく過ごせると。フリーダは思った。マリウスは常に安全地帯にいて自分を守ろうとしているだけではないかと。優等生とクラスのはみ出し者。2人の行動は正反対でありながら、傷つくのを恐れているという点では共通している。優等生特有のプレッシャー、変わり者のレッテルを張られ誰からも好かれないことへの諦念。2人は潜在的に、別のものを求めていたのかもしれない。磁石のS極とN極のように。思えば、フリーダがマリウスの顔を傷つけた時、卒業のための個人撮影で、彼が傷を隠すために他の人と逆の頬をカメラに向けなければならなくなった時、2人は後戻りできなくなっていたのである。今そこで聴こえている音楽と別のリズムで踊ってみることは、他人からのレッテルからはみ出すこと。『ショー・ミー・ラヴ』から続いてきたノーザン・テイストの青春もの(勝手に名付けた)の佳作である。

鈴木こより/冬に食べるアイスは最高度:★★★★★

ノーザンライツで紹介される青春映画は毎年楽しみにしている。ノルウェーの少年少女もsnsでコミュニケーションを取ったり、誤解とか行き違いがあって少しこじらせたりと、根本的なところは日本の10代とさほど変わらない。けれど北欧の透明な空気が、彼らのピュアな感情も不安定な欲望も、眩しく見せているような気がする。優等生な男子と問題児な女子の組み合わせも鉄板。少年がクロスカントリーで雪の中を疾走するシーンは、恋への期待感と熱に溢れていて、妙に高揚させられた。劇中のセリフにもあるが、冬に食べたくなるアイスのように、冬に堪能したいラブコメ。

【開催概要】

トーキョーノーザンライツフェスティバル 2020
会場:ユーロスペース、アップリンク渋谷
会期:2020 年2 月8 日(土)~2 月14 日(金)
チケット先行販売:2020年1月11日~24日 1300円均一
チケット一般販売:一般/1500円ほか 各上映3日前よりオンライン、窓口にて
公式 WEB サイト:http://tnlf.jp/
twitter @tnlfes
Facebook @tnlfes

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