『迫り来る嵐』ドン・ユエ監督インタビュー

中国映画界の新星が語る、脚光を浴びるまでの挫折の日々

ーーそして脚本をプレゼンしてチャンスをつかむわけですが、チャンスが訪れたときにそれをつかむにも準備が必要だったと思います。

監督:自分で脚本を書いたり、脚本を研究したりという準備はもちろんしてきましたが、この映画の完成には心理的能力やサバイバル力の蓄積が物を言ったと思います。人の一生は、成長の連続です。一度仕事を捨てたことを「遠回りした」と言う人もいますが、よく考えてみたら、私は遠回りなどしたことがありません。挫折を味わったことも、すべては必然だったのです。それを乗り越え、映画を撮ることをあきらめなかった。こうしたことがすべてこの映画を撮る上でプラスになったと思います。

ある報道で見たのですが、中国の若い監督には、プロジェクトの途中で撮れなくなる人が多いそうです。頑張りがきかなくなって、中断してしまう。そういう人は映画監督になる心理面の準備が不十分だったのでしょう。映画監督というのは、生きてきた経験値が重要になる仕事です。ですから、もし10年前にこの映画を撮るチャンスが与えられていたら、私はものにできなかったと思います。

ーー日本の場合、オリジナル脚本はなかなか企画がとおりにくいと聞きます。本作のようにオリジナルの物語で人物をじっくり掘り下げていく映画というのは作り手にとっては理想的だと思いますが、中国でも商業的には簡単ではないのでは? 今後もこのスタイルを堅持していきますか?

監督:私はやはり自分の描きたいものを映画にしたいと思っていますが、いわゆる商業性というものも拒絶はしません。今、映画会社から勧められているプロジェクトは既成の脚本があるものばかりなのですが、まだ、やる気が起こるような作品には出会っていません。



Profile
ドン・ユエ 董越
1976年生まれ、山東省威海市出身。北京電影学院監で映像撮影の修士課程を修了。数本の映画で撮影監督、CM監督などを務めた後、本作で映画監督デビューを飾る。2017年東京国際映画祭で本作は、最優秀主演男優賞、最優秀芸術貢献賞を受賞。2018年台湾金馬奨では国際批評家連盟賞を受賞した。


2019年1月5日(土)、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
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