レヴェナント:蘇えりし者

映画と。ライターによるクロスレビューです

【作品紹介】

(C) 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.『バードマン』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥが描く、復讐のためにだけに過酷な状況を生き抜く、決して諦めない男の実話を基にした魂を揺さぶる物語。
仲間の裏切りで最愛の息子の命を奪われた男、ヒュー・グラス。激しい怒りを力に変え、奇跡的に死の淵から蘇える。復讐の執念のみを武器に、300キロに及ぶ容赦ないサバイルバルの旅が始まる。(公式サイトより)

【クロスレビュー】

外山香織/痛みと寒さと空腹感とをことごとく感じる度:★★★★★

上映時間のうち3分の2くらいは眉間に皺を寄せて観ていた気がする。痛い!寒い!そして腹減った!…とにかくこの感覚が繰り返し観る者を襲う。ディカプリオ演じる主人公には何度も死亡フラグが立つんだけど、随時復活。タイトルの「レヴェナント」は蘇る亡霊という意味だそうだが、私にはキリストの復活を想起させるほどのインパクトだった。ディカプリオがこれまでオスカーを逃してきたのも、きっと本作と巡り合うまでの試練だったのだろう。息子を殺された父親の復讐譚が基本路線ではあるが、圧倒的なのは人間の思惑など知らんと言わんばかりの自然の猛威。神は与え、神は奪う。撮影のエマニュエル・ルベツキにまたもや脱帽です。

鈴木こより/各々の執念が詰まった映像に圧倒される度:★★★★☆

「息をしろ、生き残れ」というネイティブ・アメリカンの言葉から始まり、壮絶なサバイバルが展開する。この不死身ハンター役でようやくオスカーを手にしたレオ様。演技力以上に、マイナス25度の撮影に屈することなく命懸けで演じきった役者魂を讃えたい。自然の脅威、熊の襲撃、人間同士の争いからの生還譚は見応え充分。でも沁みたのは背景にあった先住民とのエピソードだ。妥協なき撮影による圧倒的な映像が、厳しい自然環境を生き抜いた先住民の知恵や独特の人生観に神秘性を漂わせる。イニャリトゥ監督はロケーション・ハンティングに5年もかけ、自然光による撮影など徹底してリアルにこだわったというが、その執念のスタンスに自然と共存してきた彼らへの畏敬を感じた。


(C) 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.
4月22日(金) TOHOシネマズ 日劇他 全国順次ロードショー

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  1. 映画感想 * FRAGILE

    レヴェナント: 蘇えりし者/生は手段、復讐は目的

    レヴェナント: 蘇えりし者The Revenant/監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ/2015年/アメリカ 最期に見た、風景は。 TOHOシネマズ新宿 スクリーン10 F-18で鑑賞。IMAX。伝記映画だそうだが、内容から判断してカテゴリは「アクション、アドベンチャー」にしています。原作未読。 あらすじ:息子を殺したヤツを追いかけます。 ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)はクマに襲われて満身創痍になりながら、息子(フォレスト・グッドラック)を殺したフィッツジェラルド(トム・ハーデ…

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