『更年奇的な彼女』クァク・ジェヨン監督インタビュー

超ハードな中国での映画製作、「韓国と同じ感覚で行ったらダメ」

韓国で流行の「指ハート」ポーズで

韓国で流行の「指ハート」ポーズで


日本でも大ヒットした韓国映画『猟奇的な彼女』(01)のクァク・ジェヨン監督が、初めて中国でメガホンをとった『更年奇的な彼女』が4月8日(金)より全国公開となる。
「中国四大女優」の一人と言われる周迅(ジョウ・シュン)を主演に迎え、無残な失恋のショックとストレスのせいで若年性更年期障害と診断されてしまうヒロインが、幸せを見つけるまでのプロセスをユーモアたっぷりに描く。
『猟奇的~』、綾瀬はるか主演の『僕の彼女はサイボーグ』(08)に続き、破天荒なヒロインが登場する“彼女”三部作を完成させたクァク監督。韓国、日本、中国を股に掛けて作品をてがけてきた監督に、中国での映画製作の現場について、また近年の日本映画について感じることなど、幅広くお話をうかがった。


『更年奇的な彼女』

『更年奇的な彼女』


–クァク監督がこの作品を監督することになった経緯を教えてください。

クァク・ジェヨン監督(以下、クァク):実は、本作よりもっと前に2本の中国映画の監督作の話が進んでいたのですが、そのうち1本は撮影の途中で中断することになり、もう1本は撮影の直前で製作会社が不渡りを出してしまって流れてしまった。その中断した作品というのが『楊貴妃』だったのですが、そこに出演していた俳優がこのシナリオを持ってきたのです。若年性更年期という症状と、風変わりな性格のヒロイン、そして誠意をもって彼女につくす男性が登場するという内容を読んで、私の得意とする部分を見せることができるし、そこまで完成にこぎ着けるのは難しくないのでは?と思って私の中国デビュー作にすることにしました。でも実際、1本映画を撮るというのは、ほんとに簡単ではないと思いましたが(笑)。

-『楊貴妃』を中断した理由をうかがっていいですか?

クァク:中国では歴史物を撮るとき、とりわけ実在の人物を扱うとき、国がすごく慎重になるんです。歴史が歪曲されることをとても嫌がるので、こちら側としては創作ができません。私としては、映画ですから創作を入れたい。でも、新しいキャラクターも作り出せないし、新しいストーリーも作ってはダメだと言われてしまいました。その他にも、女優が強い権力を持っているなど、中国の映画製作におけるシステムの違いが理由ですね。「中国ってそういうものだ」と思えればよかったのですが、それまで韓国と日本の製作環境しか知らなかった私は最初、理解ができませんでした。

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