バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

映画と。ライターによるクロスレビューです。

_MG_0817.CR2 第87回アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞受賞

【作品情報】
アカデミー賞作品賞含む4部門受賞!かつてスーパーヒーロー映画でスターになった男が、家族の愛と人生を取り戻すためブロードウェイの舞台に立つ――。


【クロスレビュー】

これまで主に「人生の厳しさや哀しみ」を重苦しく描いてきたイニャリトゥだが、本作では主演キートンの人生を、彼自身のドキュメンタリーではないかと錯覚するくらい大胆にパロディー化。どの登場人物も自分の居場所を求め、自分との闘いに消耗していく様子を、絶妙なコメディセンスで笑わせてくれるという作風の転換には驚いた。まるで全編1カットで撮影したような流麗な映像やドラムソロ、ラフマニノフやチャイコフスキーの音楽の使い方にも多幸感を覚える。イニャリトゥの作品は必ずしも一般受けするとは言い難いが、本作はオヤジの再起物語として共感ポイントも高く、多くの人に受け入れやすいだろう。とは言え人生の厳しい現実に直面し、苦悩する人々を描くというイニャリトゥの映画哲学そのものは変わっていないことに、少し安堵する。
(富田優子/★★★★★)

この映画を例えるなら、ピアノのコード進行に縛られず自由に演奏するためにドラムのみをバックに奏でる、フリージャズのアドリブの応酬とでも言えばいいだろうか。ドラムソロと部屋から部屋への行き来と会話というシンプルなフォーマットをベースに、いつ終わるのか分からないソロ演奏の様な各人の演技が繰り広げられていく。そこには予定調和の様なものが一切感じられず、もしかしたら演じている役者たちも演じていながら自身の演技や映画の内容をよく分かってないんじゃないかとすら思えてくる程だ。しかし、だからこそ何が起こるか予測がつかないスリルがあり、アバンギャルド。観終わった感想を正直に言うと、この映画を果たして面白いと言っていいのかどうか疑問だと思った。でも、★5つなのである。一般的な映画というものを観に行くつもりで臨まず、事前にあらすじもチェックせずに、芸術を観に行く様なつもりで観るのがいいだろう。
(石川達郎/★★★★★)


監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演:マイケル・キートン、ザック・ガリフィナーキス、エドワード・ノートン、アンドレア・ライズボロー、エイミー・ライアン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ
原題:BIRDMAN OR (THE UNEXPECTED VIRTUE OF IGNORANCE)
配給:20世紀フォックス映画
公式サイト: http://www.foxmovies-jp.com/birdman/
(c)2014 Twentieth Century Fox
2014/米/120分
2015年4月10日(金)、TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー

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  1. 映画感想 * FRAGILE

    バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)/存在の、耐えられない

    バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)/監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ/2014年/アメリカ アカデミー賞授賞式までで1作品扱いしたい所存でございます。 TOHOシネマズシャンテ、E-10で鑑賞。事前情報としてはマイケル・キートンが出ていること、アカデミー賞作品賞とったこと、ワンカットに見えるように撮っていること、くらいでした。 あらすじ:元ハリウッド俳優が舞台でがんばりたい。 む…

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