【TNLF】ボス・オブ・イット・オール
原題:Direktøren for det hele
英題:The Boss of It All
監督:ラース・フォン・トリアー(Lars von Trier)
出演:Jens Albinus/ピーター・ガンツェラー(Peter Gantzler)/フリドリック・トール・フリドリクソン/(Friðrik Þór Friðriksson)/ベネディクト・エルリングソン(Benedikt Erlingsson)/ジャン=マルク・バール(Jean-Marc Barr)
【作品解説】
(TNLF公式サイトより)
ラース・フォン・トリアー初のコメディ作品! IT企業経営者のラウンは、架空の社長“ボス・オブ・イット・オール”を仕立て上げ、嫌われ役を押し付けて従業員たちに取り入っていたが…。万事をコントロールするのが好きなフォン・トリアーが、オートマヴィジョン(コンピュータ制御による撮影方法)を用い、自らナレーターも務める。
【クロスレビュー】
藤澤貞彦:★★★★☆
ラース・フォン・トリアー監督の初のコメディ作品。これは、冒頭トリアー監督を初めとするスタッフの姿が、ガラスに写り込むのに象徴されるとおり、監督自身の自己アイロニーが混じった作品である。ドグマ95への言及があるなど、楽屋落ち的な笑いも随所に。映画の商業的失敗による危機後ゆえのこの作品か。そういう意味では、オフィスコメディだが、それを映画界に置き換えてみても興味深い。役者への皮肉、観客への皮肉などなど。でも一番のお楽しみは、取引先のアイスランドの社長と通訳のコンビが、フリドリック・トール・フリドリクソンとベネディクト・エルリングソンだったこと。『馬々と人間たち』の製作と監督のコンビ。一昨年TIFFのQ&Aで並んで質問に答えていた二人に、こんなところで再会するなんて。すぐにキレまくる社長フリドリクソンの怪演に心から拍手を送りたい。
鈴木こより:★★★★☆
トリアー監督の初コメディは、(他人から認めてもらいたいという願望からくる)人の心の弱さを皮肉って描いた物語。“嫌われ役”になることを徹底的に避けてきた会社経営者が、自分の身代わりとなる“ボス役”に自惚れの強い役者を雇うところから始まる。組織のトップが葛藤する姿、役者のこだわりに辟易する姿など、監督自身の姿なのだろうと重ねてみてしまう。この会社の行く末はどうなるのかとハラハラしながら展開を見守るが、ラストは「なるほど、そう来るか!」という絶妙なオチに脱帽。
2006年/ デンマーク、スウェーデン、アイスランド、フランス、イタリア、ドイツ/ 99min
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イベント、スケジュール等の詳細については公式サイトをご覧ください。
「北欧映画の一週間」
トーキョーノーザンライツフェスティバル 2015
会期: 2015年1月31日(土)~2月13日(金) ※音楽イベントは別途開催
会場: ユーロスペース、アップリンク 他
主催: トーキョーノーザンライツフェスティバル実行委員会
公式サイト: http://www.tnlf.jp/index.html