グランド・ブダペスト・ホテル

映画と。ライターによるクロスレビューです。

GHB_6852 2013?01?21.CR2【作品解説】
ウェス・アンダーソン監督にしか実現できない超豪華キャストが集結!これは、ヨーロッパ随一のホテルを仕切る“伝説のコンシェルジュ”グスタヴ・Hと、彼がもっとも信頼を寄せるベルボーイのゼロ・ムスタファが繰り広げる冒険ミステリー。1932年、格式高いグランド・ブダペスト・ホテルには、“伝説のコンシェルジュ”と呼ばれるグスタヴ・Hがいた。究極のおもてなしを信条とする彼は、宿泊のマダムたちの夜のお相手もこなし、多くの客が、彼を目当てにホテルを訪れる。しかし、彼の人生は一夜にして変わる―― 長年懇意にしていた“マダムD”が殺され、貴重なルネッサンス時代の絵画と莫大な遺産争いに巻き込まれたのだ。ベルボーイのゼロとともにコンシェルジュ・ネットワークを駆使するグスタヴは、誇りをかけて謎を解き、ホテルの威信を守ろうと大戦前夜のヨーロッパ大陸を飛び回る!
現代から60年代、そして大戦前夜へ――3つの時代を結ぶ叙事詩。ウェス・アンダーソン監督独特のユーモアの中に、究極のプロフェッショナル達の誇りと絆、師弟を越えた信頼が輝く、超一級のエンタテインメントが誕生!!


【クロスレビュー】

ウェス・アンダーソン監督の徹底的な様式美で彩られたドールハウスのような作品。ストーリーはユルいるけどそれは計算されたユルさ。その中で貫かれてるのは伝説のコンシェルジュたるグスタヴ・Hの相手をもてなす心と職業人としての精神ではないだろうか。マダムDが彼の献身に対して貴重な絵画「少年と林檎」を託したことから騒動が始まるのも頷ける。彼の精神を受け継いだロビーボーイの憧憬の眼差しが優しくも物哀しい。ノレるかノレないかで好みは分かれそうだけど、これはこういうものなんだ……と妙に納得させられてしまうのが、たぶん、この監督のマジックだ。
(外山香織/★★★★☆)

スクリーンに広がるウェス・ワールドに魅了され、瞬きするのも惜しかったほど。今作も遊び心満載の映像と、独特のユーモアに満ちたセリフが冴えまくる。殺人事件など緊迫した場面であっても“らしさ”全開。監督はこれまでも多くの作品で(養子も含めた)親子関係をテーマにしているが、本作で描いたのは伝説のコンシェルジェと新人ロビーボーイの師弟関係。血はつながっていないけれど、親子のような関係だ。ユニークな人生観をもつコンシェルジェをレイフ・ファインズが好演。85歳のマダムから弟子の婚約者まで口説いてしまう愛嬌たっぷりの人物だ。サービス精神とユーモアに溢れ、自分流のこだわりを貫き、したたかに生き抜いてきた主人公に、監督の姿を重ねてしまう。
(鈴木こより/★★★★★)


GHB_7195 2013?02?13.CR2(C)2013 Twentieth Century Fox
6月6日(金)TOHOシネマズ シャンテ、シネマカリテ他 全国ロードショー

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  1. 映画感想 * FRAGILE

    グランド・ブダペスト・ホテル/血まみれの甘いお菓子を召し上がれ

    グランド・ブダペスト・ホテルThe Grand Budapest Hotel/監督:ウェス・アンダーソン/2014年/ドイツ、イギリス まるで、絵本のような映画です ジャパン・プレミアで鑑賞。TOHOシネマズ六本木スクリーン5、N2で鑑賞。公開は6月6日です。 わたしはウェス・アンダーソンの映画をあまり…2本しか見たことがないんですね。 ちょっとそのことは先に言っておきますね。 あらすじ:殺人事件の犯人にされそうになってアタフタします。 グスタフ(レイフ・ファインズ)はホテルのコンシェルジュとして老…

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