『風切羽〜かざきりば〜』虐待を受けて育った若者が引き起こす、ある事件

 風切羽とは、鳥の両翼の後縁にあって、飛ぶ時に風を切る長くて強い羽毛のこと。インコをペットとして飼う場合、飼い主によってはインコが飛んで逃げてしまわないように、鳥が飛ぶときに一番重要な『風切羽』をハサ ミで切り落とす。 いわば人間のエゴによって鳥の体の一部を傷付け、自由を奪うのである。 一方で、言うことを聞かない我が子を力で押さえつける「しつけ」という名の体罰がある。これは度が過ぎると「虐待」で あり、鳥かごならぬ家庭という密室で不適切な扱いを受け続ける。幸いにも鳥の羽根は再生し、再び飛べるようになるが、虐待を受けた子どもは実際にどういう経験をするのか。 そして子どもの頃に負った傷は、大人になってどういった影響を及ぼすのか・・・。

【STORY】
 実の母や姉から激しい虐待を受けていたため児童養護施設に措置されているサヤコは、高校3年生。 常に攻撃的な態度を取るため、施設の中でもうまく人間関係を築けない。窮屈な暮らしに嫌気がさしたサヤコは施設から逃げ出し、久しぶりに母と暮らしていたアパートを訪れる。 だが母はサヤコを拒み、家の中に入れてくれない。居場所をなくしたサヤコは、行く宛もなく夜道を彷徨う。その道すがらサヤコはケンタという不思議な青年に出会う。彼は自転車で街を徘徊し、道行く人々に「僕の事、知りませんか?」と訪ね続けていた。 ひょんなことからケンタの自分探しの旅に付き合うことになったサヤコ。 夜の街を自転車で駆け抜ける二人の旅路は、紆余曲折を経て、とある事件を引き起こすのだった。

 監督は、初の長編映画「こもれび」が上海国際映画祭などの海外映画祭に招待され評価を受けた小澤雅人。「風切羽」でも綿密なリサーチを行い、過去に虐待を受けた若者が負った傷、悩みや葛藤を、独特な世界観の中で表現した。 主演は、映画・テレビで活躍中の新進俳優、秋月三佳と戸塚純貴。彼らが捌け口のない鬱屈した感情を瑞々しく演じている。そしてわが子を愛せない母親役を川上麻衣子が熱演。他にも実力派俳優が顔を揃え、物語にリアリティと厚みを出すことに成功している。

6月22日(土)より全国ロードショー!

第14回全州国際映画祭インターナショナルコンペティション部門作品賞・受賞
脚本・監督・編集:小澤雅人
出演:秋月三佳、戸塚純貴、川上麻衣子、重松 収 / 石田信之、五大路子、寺田有希、佐藤 太、川口貴弘
公式サイト:kazakiriba.com
制作協力・配給:アルケミーブラザース
製作・著作:「風切羽」製作委員会(サンブリリアント・アルケミーブラザース)/ HD / 88min (c)2013「風切羽」製作委員会