ミシェル・ゴンドリー新作『ウィ・アンド・アイ』 バス車内から伝わる人間関係とその土地のリアル

『エターナル・サンシャイン』『恋愛睡眠のすすめ』『僕らのミライへ逆回転』といった遊び心にあふれる快作で、日本でも多くのファンの心をつかみ、遂にはハリウッドに進出して『グリーン・ホーネット』というアメコミ大作まで手掛けた奇才ミシェル・ゴンドリー。彼が『グリーン・ホーネット』製作の傍ら、自らの高校生時代の体験を元に撮影した最もパーソナルな作品、それが『ウィ・アンド・アイ』である。
高校時代、グループの中で役割を演じている他の高校生たちを眺めながら、次第に彼ら個人の本音やルーツが語られてゆく変化を見つめていたというゴンドリーは、それから25年後に舞台をニューヨークのブロンクスに移し、そのアイディアを結実させた。

 出演者はブロンクスのコミュニティ・センター「ザ・ポイント」に集まる実在の高校生たち。彼はそこで3年に渡るインタビューを重ね、高校生たちのリアルな感情と人間関係をベースにして、下校バスで起こるティーンエイジャーたちの虚勢や不安や残酷さ、そして、なによりも個々の内に潜む本音を驚くべき鮮やかさで描き出している。
また、全てのストーリーが下校バスの中で演じられながら、そのポップコーンのようにはじける会話に加えて、効果的に差し挟まれる回想や妄想シーンでは、ゴンドリーのトレードマークともいうべきオフビートなビジュアルも健在。
2012年カンヌ国際映画祭監督週間のオープニング作品として上映され、ゴンドリーは出演者である高校生たちと一緒にカンヌの上映会場でその栄誉に浴した。

4月27日(土)よりシアター・イメージフォーラム、シネ・リーブル梅田にてロードショー!

▼ストーリー
 NYブロンクス。とある高校の学期も終わり、ようやく夏休みを迎える。バスで帰宅する生徒たち。彼らの話題は“誰と誰がくっついて別れた”の恋愛話、くだらない仲間のスキャンダルだ。中心グループのマイケルやビッグ・Tは、小学生を無理やり席から立たせ、反発するお婆さんにはセクハラまがいの嫌がらせを仕掛けて、定位置のバス最後部の座席を占領している。そこに、いつもマイケルたちの後を付いて回っているテレサが乗ってくる。気分転換にとブロンドのかつらをかぶった彼女に車内は再び大騒ぎ。女王様キャラのレイディ・チェンは親友のナオミとパーティーに呼ぶ友達の人選に忙しく、招待の断りのメールが入ってキレまくっている。ブランドンとルイスのゲイカップルは浮気のトラブルを抱えてバスの中で修羅場を繰り広げ、周りの仲間に慰められる。予測のつかない悪ガキどもの小宇宙。
バスが進み停留所に止まるにつれ、生徒たちが降りて行き、車内には次第に静寂が訪れる。そして、彼ら一人一人の内に秘めた個性と本音が見えてくる。本当のボク、知らなかった君、いつもの仲間、話したことのなかった物語。

監督・脚本:ミシェル・ゴンドリー
出演:マイケル・ブロディ、テレサ・リン
2012年/アメリカ/カラー/ビスタ/ドルビーデジタル/103分
原題:THE WE AND THE I
配給:熱帯美術館
宣伝:グアパ・グアポ
公式サイト:www.weandi.jp

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