「スバラシイ!」連発ヒュー・ジャックマンとアン・ハサウェイが来日、2500人が『レ・ミゼラブル』合唱で歓迎
親日家のヒューは、「アリガトウ、コンバンハ。ワタシハ日本ニ来テ、トテモウレシイデス」と日本語で挨拶。親指を立てるポーズとともに「スバラシイ!」を連発し(一体どこで教わったの?)、歓迎ぶりに大感激の様子だった。ショートヘアがキュートなアンは、意外にも胸元がざっくり開いたセクシーなドレス姿で登場。受け答えでは常に共演者や日本側ホストを立てる“優等生”ぶりを発揮するも、「(アマンダ演じる)コゼット役には世界一美しい映画女優を使いたかった」と失言(?)したフーパー監督に“What?!”とツッコミを入れて会場の爆笑をさらうなどサービス精神満点。質疑応答では、うまくマイクが渡らなかった質問者に対し、わざわざ舞台際まで出てきて自分のマイクを手渡す一幕も。余裕たっぷりのヒュー兄さん、アン姐さんに並び、ちょっと緊張気味で、大きな目をキラキラさせながら発言するアマンダも可愛い。
ヴィクトル・ユゴーが1862年に記した小説「レ・ミゼラブル」。これを舞台化したミュージカルは世界43カ国で上演され、初演以来27年間にわたりロングランを続けている。その映画版のメガホンを任されたフーパー監督はアカデミー賞に輝いた『英国王のスピーチ』でもその手堅い演出手腕を見せつけたが、このあまりにも有名な素材を料理するにあたり、こだわったのはすべての歌を撮影しながら実際に歌い、ライブで録ることだった。「歌いながらクロースアップで感情を伝えられる演技ができるという、ここにいる出演者の才能なくして叶わなかった」と監督。キャスティングについて、「私のジャン・バルジャン候補のリストにあった名前はたった一人、ヒューだけだった。ファンテーヌ役も、オーディションには皆さんがご存知のありとあらゆるスターたちが応募してきたが、アンの“夢やぶれて”を聞いたとたん、みな吹っ飛んだ。歌で感情を伝えることのできる人。そしてアマンダには、コゼットに必要な秘めた強さと天使の歌声がある」と3人を大絶賛。映画本編は先週木曜日に完成したばかりということで、この日は特別映像のみのお披露目だったが、それだけでも感情ほとばしるような歌声は鳥肌モノで、否応にも本編への期待が高まる。
ヒュー、アン、アマンダともに舞台経験のある俳優で、長年、歌のレッスンを積んできたキャリアがある。「ライブで歌って撮影したことで、毎日舞台の初日と千秋楽を迎えている気分を味わった。“きょう帰宅して眠るときには、もうこの歌を歌うことはないのだ”という気持ちで毎朝撮影に臨むことができた」とヒュー。 一方、母親が舞台女優で、「レ・ミゼラブル」の最初のアメリカツアーのときにファンテーヌ役のアンダースタディ(代役)を務めたことがあると明かしたアンは、「歌うことは自己表現のひとつで私にとってとても自然なことだったし、大好き。ボイスレッスンは10年ほど続けてきたので、この役をいただいた時、私はずっとそのための予習をしてきたんだと思った」と感慨深げに振り返った。
また質疑応答の際、素晴らしい歌声の秘訣について、『ロック・オブ・エイジズ』でロックスターに扮して見事な歌声を披露したトム・クルーズが1日6時間のボイス・レッスンを積んだことを引き合いに出されると、「それは最低限の時間ね」と切り返したアン。「朝起きてウォームアップをして、寝るまで歌のレッスンをするということは、こうした作品に出演する場合は必要なこと。同時にスタミナもつけなければいけないから」と、キュートなだけではない、プロの顔をのぞかせた。
今回、来日は果たせなかったが、特別映像からはあまり歌うイメージのないジャベール役ラッセル・クロウの意外に丸くて甘い歌声と、筆者が勝手にこの冬一押しの“モヤシ系イケメン御三家”の1人として注目しているマリウス役エディ・レッドメインの素晴らしパフォーマンスに胸躍った。(ちなみに、勝手に御三家のあと2人は『LOOPER/ルーパー』のジョゼフ・ゴードン=レヴィットと、『007 スカイフォール』のベン・ウィショー。余談)
『レ・ミゼラブル』は、12月21日(金)よりTOHOシネマズ日劇ほか全国公開。(撮影=新田理恵)
レ・ミゼラブル
原題:Les Miserable
監督:トム・フーパー
出演:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド、エディ・レッドメイン、ヘレナ・ボナム=カーター、サシャ・バロン・コーエン
配給:東宝東和
2012年イギリス映画
©Universal Pictures